オフィスの照度測定をしていますか?労災につながるかも?!

2016-04-19

産業医として職場巡視をしていると、色々な作業場所を見ることができます。

立派なオフィスビルの中にある明るいオフィスもあれば、工場の片隅にある小さな事務所まで様々です。

時々、薄暗い事務所の中で顔をパソコンにくっつけて猫背になり窮屈な姿勢でタイピングしている作業者の方がおられますが、会社としては、作業者の作業環境等を整えることも非常に大切です。

 

照度の測定は法律で義務付けられています

実は、オフィスの明るさの最低基準というものが以下のとおり法律で決まっています。また、6月以内ごとに1回、明るさを点検しなければならないことにもなっています。

 

事務所衛生基準規則

10条   
事業者は、室の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室については、この限りでない。

精密な作業: 300ルクス以上

普通の作業 :150ルクス以上

粗な作業 :70ルクス以上

2  事業者は、室の採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならない。

3  事業者は、室の照明設備について、6月以内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。

 

普通の明るいオフィスであれば、上記の基準を満たしているケースが大半ですが、薄暗いところでは満たしていない可能性もあります。

また、しっかりと定期的に点検して、記録を残すことをお勧めします。

 

パソコン作業と健康障害

上述の猫背の作業者の方のような姿勢を常に続けていると、眼・肩・腕・腰などにかなりの負担が生じます。また、精神的なストレスも生じてきます。

そのような事態を避けるためには、厚生労働省より出ている「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」などを参考にして、作業環境・作業を改善する必要があります。

具体的な例としては、

○作業環境改善
・照明及び採光
・グレアの防止

○作業改善
・作業時間管理
・VDT機器等の選定

○健康管理
・健康診断
・職場体操

などが挙げられます。

 

 

肩こり、痛みを軽くみてはいけない!労災認定との関係

VDT作業による疾病の一つに、頸肩腕症候群等の上肢障害があります。

それに対する労災認定基準が「上肢作業に基づく疾病の業務上外の認定基準」として公表されています。労災認定されるためには、いくつかの要件を満たす必要がありますが、その中のひとつとして「過重な業務に就労した」というものがあります。では、過重な業務とは何かというと、『同種の労働者よりも10%以上業務量が多い日が3か月程度続いた』等をいうとされています。

 

ここからは個人的な感想ですが、10%程度業務量が多いというのは、比較的頻繁に発生しうるのではないでしょうか。ですので、あとは、病院で頸肩腕症候群と診断されるかどうかがポイントになってきます。

一方、頸肩腕症候群の診断に関しては、痛みなど主に本人の自覚症状によるところが大きく、MRIの異常所見等の客観的所見はほぼ不要ですので、これも本人が痛いとさえ言えば、比較的容易に診断が付くものと思われます。

つまり、パソコンをよく使う事務スタッフが、肩などの痛みのある場合に労災申請すれば、認定される確率がかなり高いと思われます。

 

頸肩腕症候群といっても症状は様々であり、重い場合は、専修大学事件(最判平成27年6月8日)のように、何年も働くことができない状態になり、労災認定されたからには解雇制限もかかり、(学校独自の)補償金の対象にもなる等、労使紛争に繋がるリスクも生じるのです。

そのような事態を避けるためにも、企業は照度の測定を始めとした作業環境改善や、作業改善、VDT健診等を確実に行うことをお薦めします。

 

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