トラブル&解決事例

過去に弊社へ寄せられたトラブル事例のひとつと,弊社が提案した解決方法についてご紹介します。(プライバシー保護のため,趣旨が変わらない範囲で一部ケースを改変しています。)

 

Q 私どもは旅行代理店を営む会社で,国内のみならず海外にも拠点があります。あるメンタル不調者が主治医の診断書を会社に提出しましたが,その内容を見て驚きました。「うつ病の療養環境調整として,ハワイ支店への転勤が必要と考える」と書かれていたのです。確かに,日本の旅行客に人気のあるハワイには弊社の支店があります。本人が主治医に頼み込んで書いてもらったようですが,会社として従う義務があるのでしょうか?

A メンタル不調者に限らず,健康上問題を抱える社員への配慮を行う際には,「3つの区分け」のイメージを持って下さい。このイメージを持つことは非常に大切です。

①会社として,やらなければならない配慮(安全配慮義務,合理的配慮義務)
②会社として,やってあげられる配慮
③会社としては,やってあげられない配慮(企業秩序維持や社員間の平等の観点等から許容限度を超えている配慮) 

①については法的義務ですので,企業のコンプライアンス・法的責任の観点からも必ず配慮しなければなりません。

①に当てはまらないと判断できる場合,不調者が求める配慮を②または③のどちらに振り分けるかは,基本的には企業の自由裁量です。(「基本的には」の意味あいは,過去に同様のケースがあった場合,その前例へ行った配慮に今回の判断も平等原則の観点から一定程度縛られる等の意味です。)

今回ご相談のケースでは,「ハワイに転勤させる」ことが安全配慮義務の内容に含まれるとは考えにくいですので,企業の判断として,“メンタル不調になれば人気のハワイ支店勤務になれる”という風評が社員間に広まれば社内秩序を維持できないとお考えになるのなら「そのような配慮はできない」と断っても問題ありませんし,「ハワイのゆっくりした温暖な環境は,うつ病の療養にはピッタリだろう。ぜひ行ってきたまえ。」と考えて転勤希望を受け入れることも可能です。

なお,より確実に「そのような配慮はできない」という判断を下したいとお考えであれば,産業医から主治医へ「ハワイでなければならない理由はありますか?現在の勤務地のままでは病気が悪化する,治療不可能など医学的根拠があればご教示下さい。」と問い合わせておくと良いでしょう。
おそらくハワイでなければならない理由はないと思われます。(このように,迅速・適切に主治医に対して問合せをしたり,連携できる産業医を選任することは,企業にとって非常に重要です。)

 

~ポイント~

今回は,ハワイ転勤が①の安全配慮義務に含まれないという判断が比較的容易なケースでしたが,実際には,「軽作業のみ可」,「半日勤務から開始」,「配置転換が必要」など,企業にとって判断に困る場合が少なくありません。

何をもって安全配慮義務の内容とするかは,判例上も,その人の病状,企業規模,労働契約の内容など種々の要素を総合的に考量し決定されます。

つまり,医学的知識と労働法的知識がなければ,個別ケースにおいて安全配慮義務の中身を確定できない訳ですが,弊社代表は精神科専門医+特定社会保険労務士であるため,両分野の専門性に基づく公平で適確な助言を企業様に提供することが可能です。

 

お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2015 アセッサ産業医パートナーズ株式会社 All Rights Reserved.