高ストレス者面接をWEB・テレビ電話で行うことの是非

2016-03-18

ストレスチェック制度において、高ストレス者への医師面接をWEB・テレビ電話などの情報通信機器で行うこと(以下、WEB面接という)も一定の条件を満たせば許されています。

その要件については「平成27年9月15日付け基発0915第5号」で厚労省から通達が出ているので詳細はそちらをご覧下さい(この要件はストレスチェックのみならず、長時間労働者への面談でもあてはまるものです)。

この要件を満たさずに、WEB面談をされている企業もありますが、その場合は「法定の義務である面談を行った」ということにはなりませんので、注意して下さい。

また、50人未満の事業場に対しても手厚くストレスチェックを行った場合において、『ストレスチェックが義務ではないから、万一高ストレス者が生じても電話面接が可能である。会社の好きにして良い。』と勘違いされている人事の方等もいらっしゃいますが、厚労省ストレスチェックQ&AのQ0-9に書かれている通り、やる以上は法令・指針等に準じて行う必要があり、厚労省の通達要件を満たさない限りはテレビ・WEB面談はできませんのでご注意下さい(行政機関に確認済み)。

以下、厚労省の要件を簡単にまとめてみます。

WEB面接に対する厚生労働省の考え方

原則論

『労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報を元に必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものであるため、…(略)…、原則として直接対面によって行うことが望ましい』と厚労省はしています。
これからも分かるように、原則は直接対面なのです。

WEB面接が許される条件

ただ一方で、地方によってはストレスチェック対応可能な医師が不足しているため、面接医師を確保できないこともありえます。その場合、医師がいないから面接せず放置するというのは適切ではない等の理由からだと思いますが、一定の要件のもとWEB面接も許容するとしています。

【面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当すること】

①     面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。 

②     面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。  

③    面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。

④    面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に直接対面により指導等を実施したことがある場合。

 

上記のような面接医師に関する要件のほか、情報通信機器、実施方法等についても要件がありますので詳細は厚労省の通達をご覧下さい。

 この要件を見て、どう感じられるでしょうか?

個人的には、かなりハードルが高いように思います
産業医がいれば、月1回以上職場には来るはずなので、その際に面接を行えばよく、①の要件はあまりないでしょう。WEB面接の需要があるのは、産業医のいない地方の小規模事業場等でしょうが、そこで③、④の条件を満たすのはかなり厳しいと思います(高ストレス者が生じた場合にWEB面接できるよう、本社の産業医に全国の支店を行脚(巡視)させている企業もあるようです)。

そうすると、残る可能性としては、②の条件(本社の産業医が地方の事業場の健康管理も統括して行っている場合など)がまだ現実的なように感じます。

 

「WEB面接OK」を売りにして営業しているストレスチェック(長時間労働面談も)実施機関もあるようですが、許容されるには上記のような厳しい制約があるため、実際に契約締結をした後で「実はWEB面接はできなかった」「WEB面談はできるが,法定の義務を果たしたことにはならない」ということになりかねません。本当に要件を満たしてWEB面接できるのか、契約前によく確認しましょう。

弊社では➁の要件により、全国の支店に対してWEB面談を行うことができる契約形態もご用意しております。お気軽にお問い合わせください。

 

WEB面接するとして、本当に効果があるのか

上記の要件を満たし、WEB面接が可能となったとしても、それは本当に面接として有効に機能するのか、私見ですが、少々疑問です。

「高ストレス者=病気」ではなく、高ストレス者の中には、元気な人もいれば、病気の一歩手前の人もいれば、既に病気レベルの人もいます。
医師面接によって、高ストレス者がどのレベルなのかを見極め、適切に対応しなければなりません。そのためには、医師は高ストレス者としっかり深いコミュニケーション・会話のやり取りをし、色々なこと(ノンバーバルな雰囲気や目線等)を感じ取らなければなりません。
果たして、これはWEB面接で可能なのでしょうか? 

御社がTV会議を利用するのはどんな時ですか?

多くの企業でTV会議システムが導入されており、利用されたこともあるかと思います。私も経験がありますが、以下のようなことに困ったことがあります。

・会話が、コンマ数秒程度遅れるため、自分が発言したら、他の人の発言と被ってしまう。

・「場の雰囲気」というのが無いためか、次にどの人が発言するのかよく分からない。

・議論がうまく進まない

TV会議は遠隔地を結び便利な面もある反面、このようなデメリットもあるため、一人が多人数に同じことを話す報告会などには向くものの、深い議論が必要な会議、フリーディスカッションの会議にはあまり向きません。 企業においては、このような点も考慮に入れてどの会議をTV会議にするかを検討されていると思います。

また、採用試験をTV会議のみで行う企業はほとんど無いように思います(一部がTV会議というのはあっても、採用までの全ての段階の面接がTV会議というのは無いでしょう)。それはやはり、直接対面しなければ見抜けない人となりや、その人の醸し出す雰囲気というものがあるからだと思います。

 

結論:高ストレス者医師面接はWEB面接には向かない

近年、WEBによる遠隔診療も普及してきています。しかしそれは、身体疾患がメインであり、また直接診療を組み合わせて行われることとなっています。

高ストレス者医師面接は、上述のように、高ストレス者(初対面もありうる)の雰囲気や仕草を感じ取りながら、メンタル面という外部から見えない事柄を問診等を通じて評価しなければならないのですから、はっきり言って、WEB面接とはかなり相性が悪いと思います。私自身、ストレスチェック面談をWEBで行った経験もありますが、かなり難しく感じました。

おそらくこの点は厚労省も認識しているでしょうが、面接医師の絶対的マンパワー不足や、それによる要面接者の放置を危惧して、やむなく一定の要件のもとWEB面接を許容しているのだと思われます。

ですので、「法律上の会社の義務である医師面接を、どんな形であれ、とにかく行えばよい。面接の効果は不要だ。」という企業(又は、地方拠点等の理由があり、どうしても直接対面面接が困難な場合等)にとっては、要件さえ満たせばWEB面接を行っても良いでしょうが、 

『高ストレス者面接を本当に効果のあるものにしたい。病気レベルの人、または病気の手前の人に適切に介入して、安全配慮義務をしっかり果たしたい。従業員を助けたい。』

 と考える企業は、WEB面接よりも、多少コストや移動時間はかかるかもしれませんが直接対面での医師面接をすることを強くお勧めします。

 

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