今週は自殺予防週間~ストレスチェック結果から考えるラインケアの重要性~

2017-09-13

自殺者予防の取り組みと自殺者数の推移

毎年、9月10日からの1週間は自殺予防週間とされ、国、地方公共団体等が連携して、自殺予防のための啓蒙活動が行われています。駅のポスターやインターネットの広告等で見かけた方も多いのではないでしょうか。

平成 10年以降、年間自殺者数が3万人を超える状況が続き世界的にも高水準であったため、国は平成18年に自殺対策基本法を施行し、平成19年には自殺総合対策大綱を策定し、自殺予防週間等の取り組み・キャンペーンを行ってきました。

その甲斐あってか、平成24年からは自殺者数が3万人を切り減少傾向が続いており、昨年(平成28年)は約21000人となっています。

 

ゲートキーパーとは

自殺予防を行う上で、国は「ゲートキーパー」の役割を重視しています。本年度の自殺予防週間の政府広報ポスターにも、真ん中に大きく「ゲートキーパー」の文字が見られます。

ゲートキーパーとは、

自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことで、言わば「命の門番」とも位置付けられる人

のことを言います。 

ゲートキーパーは何も医師等の専門職である必要はありません。むしろ、身近な人が異変に気付き、専門職等に繋げることが重要です。

ストレスチェックの実施状況

従業員数が50人以上の事業場においては、ストレスチェックが義務化され、昨年11月末までに実施し、その結果を労働基準監督署へ届け出ることになりました。その届出の集計結果が今年の7月に発表されました(集計結果は こちらの厚労省HPをご参照下さい) 

それによると、受験者のうち医師面接まで繋がった方はわずかに0.6%に過ぎません。

自ら希望すれば医師面接を受けられる高ストレス者は、受験者の10%程度(労基署への報告書には高ストレス者の数を書く欄はありませんので正式な数は不明ですが、ストレスチェック受託機関の発表によると、いずれも約10%程度となっています)ですので、高ストレス者のうち医師面接を自ら希望したのはわずか約16人に1人に過ぎません。 

申出率が低くなることは、こちらの記事でも取り上げた通り、諸々の理由から予想されたことではありますが、

自らシグナルを発して医師面接につながろうとすることは、職域においては、かなりハードルが高い

と言えます。

 

職場におけるラインケアの重要性

そこで重要になってくるのは、ラインケアです。

職場におけるメンタルヘルス対策には、①セルフケア ②ラインケア ③事業場内産業保健スタッフ等によるケア ④事業場外資源によるケアという「4つのケア」が存在します。 

4つのケアいずれも重要ですが、上記のように自ら不調を申し出ることはハードルが高いことから考えると、職場の周りの人、特に管理監督者が気付き、適切な配慮・対応を行うこと(=ラインケア)が最も重要といえます。これは自殺対策におけるゲートキーパーの重要性と類似しています。

早めに本人の不調に気付き、適切なケアを行えば、病気の悪化や休職になってしまう事態を避けられる可能性があります。

ストレスチェックが義務化されたことにより、集団分析と職場環境改善に注目が集まっていますが、まずは基本的なラインケア教育・研修がしっかり行われているか、上司等がつなげる先となる産業医などの産業保健スタッフが機能しているかを確認しましょう。

 

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