産業医紹介

代表産業医 山崎 健太

学歴   神戸大学医学部卒
職歴

姫路赤十字病院研修医
兵庫県内の精神科病院,リワーク施設で精神科医として勤務
姫路市こころの健康相談員

株式会社神戸製鋼所  専属産業医
→独立後,50社以上の嘱託産業医・顧問医として活動中

資格   日本医師会 認定産業医
  日本精神神経学会 精神科専門医
  特定社会保険労務士(登録番号28120076号)
  精神保健指定医
  労働衛生コンサルタント
  産業医科大学 産業医学ディプロマ

 

精神科医から産業医専門に転身するまで

人の心に興味があったため,大学卒業後は精神科を専攻しました。

職場でのストレスからうつ病になってしまった患者さんを多数治療させて頂き,またリワーク施設(うつ病などの患者さんの職場復帰を支える専門施設)でも働いたことで,メンタル不調者の復職支援を数多く経験することができました。

ちょうどその頃同時期に,精神科医としての仕事の合間に、企業での産業医活動も始めました。

精神科医として「働くことで心を病んでしまった患者さん」に治療を行う一方で,企業が抱える現実や困り事として「メンタル不調者が会社に及ぼす影響(突然の無断欠勤による同僚や顧客に対する影響や,仕事のパフォーマンスの低下など)」を産業医として目の当たりにし,『メンタル不調者と企業との関係』についても深く考えるようになりました。 

なぜ,『メンタル不調者と企業との関係』という分野に興味を引かれたのか,自分なりに考えてみるとおそらく父親の影響があると思います。
父は銀行員をしていました。私が小学生の頃,バブル崩壊で債権回収など様々なお金のトラブルで大変だった時期(あくまで私の想像)だと思いますが,ある朝,母が父の腹に白い布を巻いているのです。父が,「これを巻いてれば包丁で刺されても,命が助かるかもしれんのや。」と語ったのが子どもながらに衝撃的で今でも記憶しています。
私自身が父親になった現在,「家族を養うために,文字通り命がけで仕事をしていたんだな。」「自分自身、子どもに対してそこまではできていないなぁ。」と感じるようになりました。

仕事をする理由は,私の父の場合は「家族」でしたが,人によっては「夢」であったり,「社会貢献・やりがい」「人の役に立ちたい」という想いであったり,「お金」であったり様々です。
いずれにしても,働くということは本来素晴らしい可能性を秘めており,職場というのはそのような様々な考えを持った人々が集まり,お互い協調しながら成果を出す場所だと思うのです。
協調するためには,時には自分を押し殺したり,嫌な仕事もしなければならない時もあるかもしれません。私の父の場合は,命がけの死ぬかもしれない嫌な仕事を家族のために体を張って行い,数十年後に私を介して孫の代まで影響を及ぼしているのです。

しかし現実には,『仕事のストレスが苦痛で耐え切れず、うつ病等のメンタル不調になってしまう労働者』がたくさんおられます。

 私個人の意見としては,誤解を招くかも知れませんが,仕事がストレスで病気になること自体は大変苦しいことですが、100%不幸・悪いことのみだとは思いません。
なぜなら、病気を新たな気付きにして,自分の仕事や働き方を見つめ直し,新しい人生の一歩を歩み出した人もたくさん見てきましたし,病気を抱えながらも家族や社会のために働き,家族や同僚から尊敬されている人もたくさんおられ,病気にどう立ち向かっていくかは本人次第の部分もあるからです(違法な極度の長時間労働やハラスメントなど会社に責任がある場合は別です)。

また、高血圧の持病があっても普通に働いている方もおられるように、メンタル不調があっても普通に働いて会社でも特に問題となっていない方も多数おられることは言うまでもありません。

一方で、私が問題であると考えるのは,メンタル不調者本人だけの問題では済まずに,「病気によって勤怠が乱れたり,仕事のパフォーマンスが低下し,同僚・会社・お客様へ迷惑がかかっている。しかもそれが許容範囲を超えてしまっている。」という不調者本人・同僚・会社の3者にとって望ましくない状態であり,「仲間同士の協調,仕事のやりがいや幸せ」とはかけ離れてしまった状態です。

「働く」ということが、本人にとっても会社にとっても幸せなことになるよう個人と組織の調和に対して、微力ながら産業医としてお役に立ちたいという思いが強くなり,産業医業務のみに特化して経験と積むため大手企業の専属産業医に転身しました。

 

産業医が特定社労士にもなったわけ

 産業医として活動する中で、ごくまれですが,不調者の方が会社に対して無理な要望を、時には主治医の診断書も交えて、主張されるケースに遭遇して来ました。
もちろん適切な要望であれば,会社は当然受け入れるべきであることは言うまでもありませんが,そうではない場合もあります。

例えば,「あの上司とは、単純に性格が合わないから異動させて」とか,「ストレスのない簡単な仕事だけを与えて欲しい」「体調の良い日だけ出勤します」など,それを全ての労働者に対して叶えていたら到底会社が回らなくなるような要望です。
また,遅刻・欠勤を繰り返すなどして明らかに同僚やお客様に迷惑がかかっており,会社から「どうかしっかり自宅療養して,元気になってから職場に戻って来て下さい。」と勧められても,頑なに拒否して周囲に迷惑をかけ続ける不調者もまれにいらっしゃいます。

休むと給与が減るわけで、家族や自分の生活が懸かっている場合もあり、拒否する気持ちも痛いほど良くわかりますが、『同僚や会社に迷惑をかけてまで,果たしてそのような主張を通す権利が不調者にはあるのかどうか』、そして同時に、『不調者に対して会社はどのような配慮を行う義務があるのか』を医学的視点のみならず法的視点からもしっかり判断できるようになりたいと考え,労務問題の専門家である特定社会保険労務士の国家資格も取得しました。

会社と労働者の双方が繁栄するためには、相互理解・協調、個人と組織の調和が重要であり、そのためには「対話・コミュニケーション」が必要であると考えておりますが、健康問題に関して、労使の考えが対立しうる上記のようなケースにおいてもそれは当てはまります。

その対話を進めていく中で、中立的立場にある産業医が労使双方の事情や考えを理解し、「医学的にはどうなのか」、「法的にはどうなのか」という視点を双方に提供することが、問題解決の役に立つ場合もあると日々の産業医活動の中で実感しています。

 

大企業の専属産業医経験

精神科医時代に感じた通り,「不調者への適切な配慮」と「同僚・企業への負担」とのバランスを取りながら活動し,不調者本人にも,同僚・上司や人事労務担当者の方にも喜ばれる仕事ができたのではないかと自負しています。

不調者の無理な要求に対しては,「会社はそこまでの過度の配慮はできそうにありません。」と丁寧に説明すれば,納得して頂けるケースがほとんどでした。
同時に、必要な配慮は確実に行うよう会社に提言し、安全配慮義務の履行を支援しつつ、不調者の就労を援助してきました。

また,企業という大きな組織の中で一社員(専属産業医は普通の社員と同様に,企業に常駐して働きます)として働いたことにより,医者として病院に勤務しているだけではわからない,「企業組織の中で働くということ」の意味を理解できたように思います。
そこから学んだことのひとつとして,ごく当たり前のことではありますが、弊社では企業様からの問い合わせに対するクイックレスポンス,面談結果などの丁寧なご報告を何よりも心がけております。
また、人事担当者の方、労働者の方に対して相談しやすい雰囲気づくりを意識しています。

 

会社設立への思い

私のように,法的視点も取り入れながら「不調者本人・同僚・会社」3者の適切・適法なバランスを重視して産業医活動をしている精神科専門医は珍しい存在なのではないかと思います。しかし,そのような産業医活動を求めている企業様は,数多くいらっしゃるのではないかとも考えています。

そのように思って頂ける企業様に,弊社の産業医サービスを届けたい・一緒にお仕事をさせて頂きたいと考え,アセッサ産業医パートナーズを設立するに至りました。

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