ストレスチェック・高ストレス者面接のトラブル回避のために

2017-01-28

ストレスチェックが義務化され、昨年11月末までに検査を実施する義務が企業に課されました。

その後、12月~今年1月にかけて、私自身ストレスチェック高ストレス者面談の依頼もたくさん頂き、かなり忙しくなりましたが、最近はピークが過ぎて落ち着いてきました。

そこで、ストレスチェック初年度を受けての感想、特に、高ストレス者面談を行っている先生方にお伝えしたいことを書いてみたいと思います。

(この記事は、企業向けではなく、医師向けの内容となっております。)

 

面接を希望する人が少ないとか、集団分析をして組織改善につなげる必要があること等は、当ホームページの過去の記事でも書いてきましたし、ちまたの記事等でも散々書かれていることですので、今回は割愛します。

 

心配になる企業の対応

産業医として、実際にストレスチェックに関わり、高ストレス者面談を多数行ってきましたが、その中で企業(又は外部機関)の対応として『それで大丈夫なの!?』と驚くような経験もありました。

 

とある従業員数千人レベルの大企業は、外部機関が提供しているストレスチェックシステムをそのまま利用していましたが、従業員がネット上で受験する際に一番初めに出てくる画面が、『あなたは、いまから受けるテストの結果を、会社に提供することに同意しますか?』であり、そこでYES/NOに答えなければ、検査に移れないというのもありました。
(ストレスチェック制度上、受検結果が出る前の段階で、結果提供の同意・不同意を会社が取得することは認められてないのですが……)

 

大企業でもこのような状況ですから、中小企業ともなると、真面目にしっかりと行っている企業が大多数ではあるものの一部においては、不適切な事態が生じているのも想像に難くないでしょう。
衛生委員会で審議していない、ストレスチェックの実施規程すらない等はほんの序の口であり、にわかには信じられないような事も行われていると伝え聞きます。

そのような状況ですので、おそらくストレスチェック実施の不備や企業の不適切な行為に気付いた従業員と会社とのトラブルが、今後増えてくるものと想像されます。

 

そんな状況下で高ストレス者面談を行うには、面接医師としてやるべきことをしっかりやっておくことが、労使間のトラブルに面接医師が巻き込まれないようにする上で重要になると思われます。

 

制度について会社の説明不足、本人の理解不足

私は、高ストレス者面談を始める前に、労働者の方に対し、制度の説明と面談後の流れ(企業との情報共有や、就業制限の可能性等)を必ず説明します。なぜなら、厚労省ストレスチェックマニュアルに以下の記載等があるからです。

 

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面接指導を行う医師は、面接指導の結果、事業者に意見を述べる必要があります。ここに至るまでに、その旨は既に労働者に説明がなされていますが、面接指導開始時にもあらためて、面接指導制度の仕組みを説明し、対象者の理解を確認しておきましょう。

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すると、意外にも、企業の説明不足なのか、本人の理解不足なのかはわかりませんが、

「そんなの知らなかった」
「面談の結果が会社に伝わるのは嫌だ」
「就業制限になったら、たまったもんじゃない」

と仰る方が、結構いらっしゃいます。
不利益取り扱いは禁止されているのですよと伝えても「絶対にないと保障できるのか?」と切り返されると、反論のしようがありません。なぜなら、不利益取り扱いの可能性が否定できないがゆえに、わざわざ法律で禁止されているのですから…。
「先生は医師免許を持っているから安泰だが、我々は違うんだよ」と、逆にお叱りを受けたケースもありました。

 

そのような方々には、厚労省ストレスチェックQ&Aに

『(会社への情報提供について)事前に了解が得られない場は、法に基づく面接指導は事業者に結果が伝わる仕組みである旨を説明し、本人の了解を得た上で、法に基づく面接指導としてではなく、事業者に伝えないことを前提に、通常の産業保健活動における相談対応として実施することも考えられます。』

とありますので、ストレスチェック制度上の面接希望の申し出を取り下げ、通常の産業医面談に切り替えることもできると説明します。

 

すると、今シーズンの私の経験だけで、多数の高ストレス者の方が面接希望の申し出を取り下げられました。

 

説明なしでの面談は、トラブルのもと

この方がたに、説明なしで面談を実行し企業に面談報告書を提出していたら、トラブルになっていた可能性があったのではないかと思います。「産業医のせいで、会社から残業制限をかけられた」「情報が会社に伝わって、出世に響いた」等と言われかねません。

 

もちろん、面接医師としては、面談結果を会社に情報提供する等は法令にのっとった適切な対応であり、本人が制度の流れを理解せずに高ストレス者面談を希望してきたのは、説明不足の会社又は会社の説明を十分聞いていない本人のせいです。
しかし、トラブル防止のためにも、厚生労働省のストレスチェックマニュアルにもある通り、面接開始前に本人に制度の説明を行った方が良いと言えるでしょう。

なお、このようなトラブル防止のために、面接申出時に本人からしっかりと同意書を取っている企業もある(むしろその方が多い?)ので、同意書の有無を確認するのも重要です。

 

 

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