今年6月の労働安全衛生規則改正に関して、通達内容も含めた注意点

2017-06-20

平成29年6月1日より、労働安全衛生規則(以下、省令)が改正され施行されています。

産業医に関する改正としては、大きく3点あります(職場巡視頻度については昨年11月の時点で既に記事にしています のでご参照下さい)。

➀産業医の職場巡視頻度について

➁健診結果に関して就業判定をする上での医師への情報提供義務

➂産業医に対する長時間労働者の情報提供義務

 

労働衛生に関する雑誌やインターネット上では、今回の省令改正についての記事も多数見られますが、私の見た限り、省令改正に関する通達(基発0331第68号)についてまで踏み込んで記載しているものは少なかったため、今回はその点についてまとめてみることにします。

 

➀産業医の職場巡視に関して

産業医の職場巡視を2か月に1回とするためには、省令上は以下の要件が必要になります。

 

1.事業者(会社)の同意

2.衛生管理者の巡視結果の産業医への提供

3.その他、衛生委員会での調査審議を経て、会社が産業医に提供することにした情報の提供

 

そして通達において、1~3について詳しく記載されていますので、順に見てみます。

 

会社の同意について

会社の同意とだけ聞くと、社長や人事・総務部長等の労働衛生に関するトップの人の同意でOKなように感じてしまいますが、通達上は、衛生委員会での調査審議の上で決定するようにとなっています。

 

ストレスチェックに関してもそうですが、職場の労働衛生に関する事項については、労使がともに参加している衛生委員会で調査審議して決めるという傾向があるように思います。しっかりと衛生委員会を開催することが重要です(衛生委員会の重要性については こちらの記事もご参照下さい。)。

 

また、一回OKとなれば、その後もずっとOKという訳ではなく、一定期間を定めて、その都度産業医の意見を聞き調査審議し直すことが必要であるとされています。

 

衛生管理者の巡視結果について

衛生管理者は週1回以上職場巡視をしなければならないと法令で定められていますが(安衛則11条)、そもそも実施されてますでしょうか?実施していない会社も多数存在するのではないかと思いますが、確実に実施するようにしましょう。

もし、衛生管理者が週1回以上の職場巡視をしていない場合は、産業医の職場巡視を2か月に1回にすることはできません。

 

また、巡視結果については、以下の事項を含まなければなりません。

・巡視の日時、巡視した場所
・安衛則第 11 条1項の「設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるとき」と判断した場合における有害事項及び講じた措置の内容
・その他労働衛生対策の推進にとって参考となる事項 

それらの情報を産業医に月1回以上提供してはじめて、2か月へ1回への変更が可能となります。 

実務的には、上記事項を含んだチェックシートのようなものを作り、毎月産業医に提供するのが良いでしょう。

(全くの余談ですが、今回の産業医の月1回と同じく、そもそも衛生管理者が週1回職場巡視する意味はあるのかという議論にはならないのでしょうか…。)

 

その他の情報について

まず、今回の省令改正点のうちの一つである「産業医に対する長時間労働者の情報提供」がしっかり行われていることが必要です

 

その上で、どのような情報を産業医に提供することにするかは、事業場の実情に応じて、適切に定めれば良いとされていますが、通達には一例として以下の情報が挙げられています。

・健康への配慮が必要な労働者の氏名(安衛法66条の9で規定)及びその労働時間数
・新規に使用される予定の化学物質・設備名及びこれらに係る作業条件・業務内容
・労働者の休業状況

 

➁健診結果に関して就業判定をする上での医師への情報提供について

医師から求められた場合に、会社が医師へ提供すべき情報は以下となります。 

労働者の作業環境、労働時間、作業態様、作業負荷の状況、深夜業等の回数・時間数など

この点については、そもそも健診結果に対する医師の意見聴取をできていない会社も相当数存在すると思われますので、確実に実施するようにしましょう(こちらの健診に関する記事もご参照下さい。)

 

なお、現状(省令改正前)でも、上記情報を医師から求められた場合、情報提供を拒否して秘密にする企業もあまりないと思いますので、この改正点は実務上それほど大きな影響はないように思います。

 

➂産業医に対する長時間労働者の情報提供について

休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が、1月当たり100時間を超えた場合は、その労働者の氏名及び超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないこととなりました。

 

そして注意しなければならないのは、そのような労働者がいない(該当者なし)の場合も、その旨を産業医に伝えなければならない点です

 

また、健診の就業判定に関する情報提供とは違い、長時間労働者の情報は、産業医から求められなくても、会社から産業医に情報提供しなければならない点も注意しましょう。
「産業医から聞かれなかったので、伝えませんでした」はNGですので注意が必要です

しっかり産業医とコミュニケーションを取り、会社側から情報提供するようにしましょう。

 

今後も続く、産業医の業務と責任の拡大

今回、産業医の業務について省令改正が行われましたが、今週日曜日の日経新聞1面にも特集されていたのでご存知の方も多いかも知れませんが、こちらの厚生労働省資料にもある通り、今後も法改正が予定されています。

昨年の電通の過労自殺事件を契機に、長時間労働対策(労基法改正も予定)・働き方改革の流れが世の中全体で進んでおり、産業医の重要性や活動を強化する方向になっています。 

名義貸しの産業医や、副業として活動している産業医ではなく、産業医業務に特化したプロの産業医をお探しの企業様は、お気軽に当社までお問い合わせ下さい。

 

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