労基署による最近の是正勧告・指導内容について
労基署の監督官がやって来た
産業医をしていると、会社から「先週、労基署の監督官が突然やってきました」「労基署が今度○月○日に来ます」という報告を受けることが多いのですが、肌感覚としてその頻度が最近増えているように感じます。
労基署が会社へ来てチェックすると言えば、労働時間を適切に把握して賃金を支払っているか、残業代を正しく支払っているかどうか(最近ニュースになっているセブンイレブンの残業代未払い問題も、計算方法の間違いを労基署に指摘されたのがきっかけのようですが…)、36協定の内容は適切かなどの「賃金」「お金」に関することがメインですが、最近では働き方改革の影響もあり、「労働衛生」「労働者の健康管理」に関する項目もチェックされるようになってきたという、会社担当者からの声をよく聞きます。
労働者に健診を受けさせていない、健診結果について医師に就業判定させていない、産業医を選任していない、ストレスチェックをやっていない、衛生委員会を開催していない等は論外で、是正勧告となりますが、最近では2019年4月の法改正の内容に関する指導・是正勧告も行われるようです。
労働行政運営方針について
労基署がどのような点を重視し、臨検をはじめとした行政活動を行っているかについては、毎年4月に厚生労働省から「地方労働行政運営方針」が公表されており、参考になります(直近のものについては、こちらの厚労省HPから見れます)。
今年度の内容を見ても「長時間労働の是正を始めとする労働者が健康で安全に働くことができる職場環境の整備等」に最も多くのページ(8ページ~23ページ)が割かれており、その中で「長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないようにするため、産業医・産業保健機能の強化、医師による面接指導の対象となる労働者の要件の拡大等が図られたところであり、改正安衛法の内容について、あらゆる機会を通じて周知、指導を図る必要がある。」と書かれており、企業としても改正された部分について確実に対応しておく必要があると思われます。
最近経験した指摘事項
私が実際に、企業から報告を受け見聞きした労基署からの指導・是正勧告の内容について、以下、いくつか代表的なものを挙げてみます(今年の改正に対応するもの以外も含みます)。
①安全衛生委員会のメンバー構成について
②産業医への残業時間の報告について
③「健康情報取扱規程」の策定について
④産業医の業務内容等を労働者に周知しているかについて
⑤「心の健康づくり計画」の策定について
⑥「安全衛生管理規程」の策定について
各項目の具体的内容については、次回のブログにて。