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うつ病等のメンタル不調者の職場復帰・復職基準はどうあるべきか
【メンタル不調者の職場復帰シリーズ】
①うつ病等のメンタル不調者の職場復帰・復職基準はどうあるべきか(本記事)
復職を認めるか、認めないか。意見が対立する時がある。
労働者が、まだ病状回復が不十分であるにも関わらず、諸事情から職場復帰を希望し、主治医も本人の希望を汲んで職場復帰可能の診断書を発行するケースも存在するのは、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」にも書かれているとおりです。
私自身も、産業医として面談をする中で、
「症状はまだ治ってなくて、夜も眠れませんが、貯金が減ってきたので復職します。」
「主治医の先生は、まだ回復していないので復帰するには早いと言っていましたが、お金がないからと頼み込んだら、復帰OKの診断書を書いてくれました。」
「仕事をするのは難しいと思いますけど、休んでいるより、職場にいる方が気が晴れるから戻ります。」
等と労働者の方から堂々と言われてしまい、面食らった経験もあります。
一方で、それに対する企業の反応として、「お金がないなら大変でしょう。病気が治ってなくても、仕事が出来なくてもいいから、すぐに復帰しなさい。」という企業もまれにありますが、「病気をしっかり治して、働ける状況になってから復帰して下さい。」と考える企業がほとんどです。その場合には、復帰の可否に関して、労働者と会社の意見が対立することになります。
労使のどちらの意見が採用されるべきなのか、職場復帰に関する基準が必要になってくる訳ですが、実は非常に難しい問題であり、その判断が給与のみならず雇用の存続自体にも関わってくる場合には、さらに難しい判断となります。
労働契約の観点から~債務の本旨に従った労務の提供~
労働契約の観点から言うと、休職からの復職が可能かどうかは、「(労働契約の)債務の本旨に従った労務の提供」ができる状態まで病気が回復しているかで判断することになります。
しかし、何をもって、「債務の本旨に従った労務の提供ができる」とするのかは難しい問題であり、労働契約の内容や、企業の規模等によって変わってきます。
例えば、私が外科医として、ある病院と労働契約を結んでいたとします。
その契約の内容が、「手術専門の病院で、全ての労働時間を手術のみに従事する。その分、報酬は非常に高く、年収4000万」であったとしましょう。
仮に、私が手術のプレッシャーからうつ病になって休職し、主治医から「復職可能。但し、手術は不可で、外来診察のみ可。」と診断書が出ても、復職させる義務はありません。なぜなら、手術のみに従事するという契約内容であり、だからこその年収4000万であり、手術専門の病院なので外来診療は無いからです。手術ができるようにならなければ、そのまま解雇・退職もありえます。
一方、「医師として勤務する。」という包括的な業務内容の労働契約をしており、かつ大規模な総合病院(←一人手術が出来なくても、大きな支障とはならない。外来診療も行っており、実際に外来のみを行っている医師も所属している。)である場合は、同様のケースでも復職させる義務が病院には存在すると思われます。
厚労省の職場復帰支援の手引きにヒント
判断が非常に難しい復職基準ですが、厚生労働省が発表している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」には、復職基準の例として、以下のことが書かれており参考になります。
①労働者が職場復帰に対して十分な意欲を示している。
➁勤時間帯に一人で安全に通勤ができる。
③会社が設定している勤務日に勤務時間の就労が継続して可能である。
④業務に必要な作業 (読書、コンピュータ作業、軽度の運動等)をこなすことができる。
⑤作業等による疲労が翌日までに十分回復していること等の他、適切な睡眠覚醒リズムが整っている。
⑥昼間の眠気がない。
⑦業務遂行に必要な注意力・ 集中力が回復している。
私の意見としても、復職に際して最低限これらの条件はクリアしていないと、復帰しても再度休職してしまうリスクが高いと思われます。
また、厚労省がわざわざ手引きの中で示してくれている基準なのですから、最低限これらを満たさない場合は、「本人が希望しても復帰は認めない」と会社は判断しても良いと思われます。
ただ注意しなければならないのは、「昼間の眠気がない」というのは、業務に支障がある眠気がないということであり、一切の眠気が存在してはならないということではないので注意が必要です。お昼ご飯を食べた後の昼下がりに眠気が生じない人間はほとんどいないでしょうから、この基準を字義通りに解釈するとほとんどの人間は復職不可となってしまいますので…。
また、④や⑦は復帰前には評価が難しい面もあり、あまり厳しく評価しすぎて復職不可とすると不当な判断とされかねませんので注意して下さい。
(この点は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド事件(東京地裁平成26年11月26日)が参考になります。)
さらには、その方が休職するのが何回目かというのもポイントになります。初回であれば、それほど厳しく判断するのは良くないでしょうが、過去に複数回休職を繰り返しているケースでは、「前回の復職は失敗(再休職)になってしまった。前回と同じ轍を踏まないようにするためには、今回の復職は前回とどう違うのか。」という視点を持って判断する必要があろうかと思われます。
なお、判例上、上記の基準を満たすかどうか、つまり休職事由が消滅したかどうかは、労働者側に証明する責任があると言われていますので、労働者が「毎日出社できるかどうか自信がない」「集中力が回復しているかわからない」等と言い、基準を満たしているかどうか不明又は自信がない場合は、たとえ主治医からの復職可能の診断書があったとしても、休職を継続すべきであると考えます。
休職を続け、主治医に治療をさらに進めてもらいながら、例えば毎日出勤時間に合わせた通勤訓練をして、復帰しても安全に通勤できる自信を付けてもらい、また、毎日、所定労働時間(8時間等)に応じて図書館に通い読書をして、業務遂行に必要な集中力が回復していることに自信を付けてもらって、上記基準を満たしているであろうことを証明してもらってから復帰してもらうべきです。
まだ訓練も実施できていない状態で、しかも「自信がない」と言っている労働者の復職を、主治医の診断書が出ているから等の理由で安易に認めれば、再休職のリスクが高く、本人にも会社にとっても良いことはありません。
治療を継続し、さらに復帰へ向けた訓練もすれば、自信が持て、また、実際に復帰後も継続して働ける可能性が高まるのですから、「休職を継続して、最低限厚労省の基準を満たしていると自信が持てるまで治療・訓練を行う」選択肢を取るべきであると思います。
こんな復職基準はマズイ!
上記の通り、「債務の本旨に従った労務の提供」とは具体的に何なのかは、労働契約の内容や企業規模等によっても異なってくるため、判断が非常に難しいと言えます。
しかし、いくら判断が難しいと言っても、判決文の中などで見聞きする中で、人事・上司や産業医が労働者に対して示した復職基準を見ていると、「その基準はマズイでしょう!」と思ってしまうものもあります(そして、会社側が敗訴するケースがほとんどです)。その代表が、以下の基準です。
「元の職場で、元の通り働けない限りは、復帰は認めない」
この基準は、一見正論のように見えますが、労働契約の観点からは無理のある基準であり、このような基準で判断していると、労使トラブルになった際には、まず企業側は負けてしまいます。
また、無知な産業医が、産業医面談でこのような不当な基準を口走ると、労働者に録音され(産業医面談の録音の反訳が、訴訟で証拠として提出されるケースもしばしばあるようです。)、訴訟の際に裁判所から「産業医は不当な基準で、復職を認めない前提で面談をしている。産業医の意見は信用できない。」と判断されかねませんので注意が必要です。
マズイ点1つ目 ~元の職場~
この基準のマズイ点1つ目は、「元の職場」です。
上述の厚労省の手引き等でも、元の職場に復帰させるのが原則とされています。
しかし、これはあくまで原則であり、例外も場合によっては認めなければなりません。
特に、「今回復職を認めなければ、休職期間満了で退職・解雇になる」場面では、例外を認める要請がかなり強く働くと考えるべきです。
なぜなら、終身雇用が前提の日本の社会においては、労働契約を終了させることのハードルは非常に高く、メンタル不調者の休職満了時でもそれは当てはまります。
「なぜそんなにハードルが高いのか、会社にとって不利すぎないか」という意見もありますが、こちらの記事にも書いている通り、会社は終身雇用によって、色々なメリット(例えば強力な配転命令権)も享受しているわけです。
ですので、「労働契約の内容や企業の実状等から考えて、本当にこのメンタル不調者が就業できる他の職場はないのか、異動の可能性はないのか」を慎重に判断しなければなりません。
元気な人たちには、単身赴任や海外赴任など、その人の家族関係・人生に大きな影響がでかねない配転をバンバン自由に行ったり、全く経験のない分野への異動を命じておきながら、メンタル不調者の復職に際しては「元の職場以外で復帰できる所はありません。元の職場で無理なら、退職・解雇です。」と簡単に判断するのは、不当・不公平であり、裁判所も簡単には許してくれないという訳です。
マズイ点、2つ目 ~元の通り働く~
この基準のマズイ点の2つ目は、「元の通り働く」です。
休職しているメンタル不調者Aさんが、休職前に行っていた仕事の量・質を150とします。
世の中でAさんと同種の仕事をしている人の平均が、100だとします。
(そんなに簡単に数値化できるものではありませんが、便宜上。)
一般的な日本の雇用の特徴は、職能給です。職務給ではありません。
ですので、会社とAさんは「150の仕事をする」という契約を結んでいるわけではなく、また、150に応じた報酬が支払われているのでもないのです。
にも関わらず、「元の通り=150」できないと職場復帰を認めないのは理不尽ということになります。あくまで、「その人の元の通り150」ではなく、一般人のレベルである100を基準に考えるべきと言えます。
じゃあ、80くらいしかできない場合にも復帰を認めるべきなのかという難しい問題もありますが、この場合も上記と同様に「今回復職を認めなければ、休職期間満了で退職・解雇になる」場面では、復帰させる要請が強く働くため、復帰後2~3か月で100まで戻る見込みがあるのであれば現在は80だとしても復帰を認めるべきという結論になろうかと思います。
これが、50の場合はどうなのか、休職期間満了ではなく休職期間が残っている場合での復職希望時にはどうかのかという更に難しい問題がありますが、ここではあまり深入りしないでおきます。
【「メンタル不調者の復職基準とその判断の難しさ」へつづく】

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4つのケアと安全配慮義務
企業の中でメンタルヘルス対応を行うにあたり、メンタル不調者が生じにくい働きやすい職場環境を作ることが、最も重要でかつ根本的対策ではあります。
しかし、一方でやはり、上司・人事労務担当者にとって気になるのが、「既に生じてしまったメンタル不調者に対する会社の対応が、安全配慮義務違反とならないか」という点ではないでしょうか。
昨日の報道でもありましたが、製薬会社S社の当時47歳男性が自殺した事件においても、
『男性は仕事上のミスが急増し、「自分は仕事が遅い」と発言していたこと等から、上司は自殺の2日前には、男性がうつ病などを発症していることを認識可能であった。男性の仕事を軽減する等、対応をしていれば自殺は防げた可能性が高い』
と裁判所は判示したとのことです。まさに、メンタル不調者にどのように対応すべきかが問われています。
(判決文を読んでいないので詳細はわかりませんが、仮に報道された通りだとすると、自殺の2日前に発症を認識したとして、仕事量を減らせば自殺が回避できるものなのか個人的には疑問です。そのような自殺が切迫した非常に悪い病状であれば、仕事を減らすうんぬんではなく、即刻仕事から離れ、家族に連絡しすぐに病院受診・入院をしなければ自殺は回避できないようにも思いますが…。)
そこで4つのケアと、安全配慮義務の関係について考えてみたいと思います。
4つのケア
まずは、4つのケアについておさらいです。
①セルフケア
労働者自身による、
・ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
・ストレスへの気づき
・ストレスへの対処
➁ラインケア
管理監督者による、
・職場環境等の把握と改善
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援
③事業場内産業保健スタッフ等によるケア
産業医等の保健スタッフによる、
・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
・個人の健康情報の取扱い
・事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
・職場復帰における支援
④事業場外資源によるケア
・情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
・ネットワークの形成
・職場復帰における支援
安全配慮義務上、最も重要なのはラインケア!
安全配慮義務を履行する上では、上記の4つのケアすべてが重要であることは言うまでもありません。
しかしこの中でも、安全配慮義務の観点から特に重要であると私が考えるのは、ラインケアであり、その中でも特に、「管理監督者が労働者からの相談を受け、または不調に気付いた場合に、確実に産業保健スタッフ等へ繋げる」ことです。
なぜなら、これが機能しなければ、どんなに素晴らしく優秀な産業保健スタッフ・事業場外資源をそろえても、メンタル不調者がそこまで繋がらず、職場で放置され病状を悪化させる事態となりかねないからです。
管理監督者が、部下の不調に気付くには、いつもと違う様子に早く気づくことが重要です。
例えば、それまで遅刻をしたことがなかった部下が遅刻を繰り返したり、無断欠勤をしたりする、仕事の効率が落ちている等です。これらが見られたら、管理監督者は一人で抱え込まず、医療の専門職である産業医等に繋げるようにしましょう。人事部等に相談して指示を仰ぐのも良い対応と言えます(人事部等が産業医との連絡窓口になっているケースが多いですし、また、遅刻・欠勤は人事マターですから)。
ただ、繋げたところで、産業医が名義貸しであったりメンタル対応ができない等、産業保健スタッフが機能していないと意味がありませんので、そこの体制整備をしっかり行うことも企業にとって重要です。
なぜ安全配慮義務上重要か?予見可能性との関係
安全配慮義務違反となるには、結果(=病気、自殺等)に対する『予見可能性』が必要になります。
「予見可能性がない」とは例えば、会社での様子は全く元気で、一緒に働く誰もがメンタル不調があるとは気付かなかった人が、うつ病になってしまった場合が挙げられます。その場合には、一般的には(長時間労働等をさせていなければ)、安全配慮義務違反とはなりにくいと言えます。
一方、管理監督者(又は一緒に働く同僚)が、本人の不調に気付きながら、産業保健スタッフ等に繋げていない状態は、『結果に対する(=うつや自殺に繋がってしまう)予見可能性』があるのに、なんら適切な対応をしていない状態であり、非常にまずいと言えます。
私が過去に経験した事例では、メンタル不調の症状が出ている労働者が、上司に診断書を提出したにも関わらず、その上司は自分のところで診断書を止め誰にも報告しておらず、その労働者が休職してはじめて、診断書が出ていたことが発覚したことがありました。その会社には、診断書が出た場合にはどうするかという統一ルールが無かったのです。『診断書がでている=思いっきり予見可能性がある』ですので、このような対応は非常にリスキーと言えます。
このような事態を避けるためには、
①管理監督者に対し、部下の不調に気付くためのラインケア教育を行う
➁部下から相談を受けたり、不調に気付いた際の対応方法(産業保健スタッフに繋げるための窓口へ報告する等)を周知する
最低限、この2つは必須であろうと思われます。
ストレスチェック制度が始まり、検査を実施することや医師面接を行うことばかりに気を取られがちですが、ストレスチェックは職場におけるメンタルヘルス対応のごく一部に過ぎず、上記のような基本的な体制をしっかり整えておくことも重要なのです。

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オフィスの照度測定をしていますか?労災につながるかも?!
産業医として職場巡視をしていると、色々な作業場所を見ることができます。
立派なオフィスビルの中にある明るいオフィスもあれば、工場の片隅にある小さな事務所まで様々です。
時々、薄暗い事務所の中で顔をパソコンにくっつけて猫背になり窮屈な姿勢でタイピングしている作業者の方がおられますが、会社としては、作業者の作業環境等を整えることも非常に大切です。
照度の測定は法律で義務付けられています
実は、オフィスの明るさの最低基準というものが以下のとおり法律で決まっています。また、6月以内ごとに1回、明るさを点検しなければならないことにもなっています。
事務所衛生基準規則
10条
事業者は、室の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室については、この限りでない。
精密な作業: 300ルクス以上
普通の作業 :150ルクス以上
粗な作業 :70ルクス以上
2 事業者は、室の採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならない。
3 事業者は、室の照明設備について、6月以内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。
普通の明るいオフィスであれば、上記の基準を満たしているケースが大半ですが、薄暗いところでは満たしていない可能性もあります。
また、しっかりと定期的に点検して、記録を残すことをお勧めします。
パソコン作業と健康障害
上述の猫背の作業者の方のような姿勢を常に続けていると、眼・肩・腕・腰などにかなりの負担が生じます。また、精神的なストレスも生じてきます。
そのような事態を避けるためには、厚生労働省より出ている「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」などを参考にして、作業環境・作業を改善する必要があります。
具体的な例としては、
○作業環境改善
・照明及び採光
・グレアの防止
○作業改善
・作業時間管理
・VDT機器等の選定
○健康管理
・健康診断
・職場体操
などが挙げられます。
肩こり、痛みを軽くみてはいけない!労災認定との関係
VDT作業による疾病の一つに、頸肩腕症候群等の上肢障害があります。
それに対する労災認定基準が「上肢作業に基づく疾病の業務上外の認定基準」として公表されています。労災認定されるためには、いくつかの要件を満たす必要がありますが、その中のひとつとして「過重な業務に就労した」というものがあります。では、過重な業務とは何かというと、『同種の労働者よりも10%以上業務量が多い日が3か月程度続いた』等をいうとされています。
ここからは個人的な感想ですが、10%程度業務量が多いというのは、比較的頻繁に発生しうるのではないでしょうか。ですので、あとは、病院で頸肩腕症候群と診断されるかどうかがポイントになってきます。
一方、頸肩腕症候群の診断に関しては、痛みなど主に本人の自覚症状によるところが大きく、MRIの異常所見等の客観的所見はほぼ不要ですので、これも本人が痛いとさえ言えば、比較的容易に診断が付くものと思われます。
つまり、パソコンをよく使う事務スタッフが、肩などの痛みのある場合に労災申請すれば、認定される確率がかなり高いと思われます。
頸肩腕症候群といっても症状は様々であり、重い場合は、専修大学事件(最判平成27年6月8日)のように、何年も働くことができない状態になり、労災認定されたからには解雇制限もかかり、(学校独自の)補償金の対象にもなる等、労使紛争に繋がるリスクも生じるのです。
そのような事態を避けるためにも、企業は照度の測定を始めとした作業環境改善や、作業改善、VDT健診等を確実に行うことをお薦めします。

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ストレスチェックで、面談の希望・申し出が少ない時どうするか
新年度になりましたが、皆様の企業においてもストレスチェックの導入は進んでいますでしょうか?
先月、保健同人社が公表した調査結果によると、アンケートをとった今年の2月15日の時点で、ストレスチェックの準備状況について「ほぼ完了している」と回答した企業担当者は5%未満であり、一方、6割を超える担当者が「検討中/情報収集中」と回答したとのことです。
おそらく多くの企業は、外部の検査機関にストレスチェックの実施を委託する形を取られることになるかと思いますが、どのような機関を選ぶかは非常に重要であると以前よりホームページ等を通じてお伝えしてきましたが、最近その思いがますます強くなっています。
なぜなら、想定されていたことですが、「高ストレス者が医師面接を希望して、会社に申し出る率(以下、申出率と言います)が、非常に低い」ケースが頻発しているからです。
場合によっては申出率が受検者全体の0.5%以下、場合によっては1000人受検して高ストレス者面接はゼロ人というケースも良く見られます。
2017年1月20日追記)
昨日、宮崎労働局による県内企業のストレスチェック結果をまとめた資料が新聞報道されていましたが、それによると宮崎県内のストレスチェック受検者3万7129人のうち、医師面接を受けたのは290人であり、わずか0.8%となっています。
申出率が低いと、何が問題なのか
厚生労働省が言っている、ストレスチェックの目的を見てみてみましょう。
『定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個々の労働者のストレスを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものを低減するよう努めることを事業者に求めるものである。さらにその中で、ストレスの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としている。』
(ストレスチェック指針より)
つまり、厚生労働省が、ストレスチェック制度において効果があると言っているのは、主に以下の3つです。
➀結果を本人に返し、ストレスを自覚させる
➁医師面接
➂集団分析・職場改善
努力義務である➂をしていない企業において、申出率が低く➁もできないとなると、残るは➀のみになります。
しかし、①の効果というのは非常に限定的です。「あなたは点数が高かったですよ」という結果を本人に単純に返却するだけで、メンタル不調防止の効果が生じるとは考えにくいことは、医療の素人でもわかることかと思います(セルフケアのアドバイスを付ける等によって多少は効果があるのかも知れませんが)。
つまり、集団分析・職場改善をしていない企業において、さらに、申出率も低いとなると、ストレスチェックの効果はほとんど望めず、まさに「毎年費用だけかかって、ほとんど効果がない。かといって、法的義務だから止めるわけにもいかない。」という最悪の状態に繋がってしまうのです。
申出率を上げるために、どうするか
まず、高ストレス者が面接を申し出ない理由について考えてみましょう。
➀会社に自分の結果が伝わるのが嫌
➁過去に産業医面談をしても意味がなかった
③どうせ何も変わらない
他にも色々あるかと思いますが、このようなことが考えられるかと思います。
➀、➂については労使間の信頼関係に問題があると言えます。ストレスチェック医師面接の結果によって不利に扱うことはないこと、会社としても働きやすい良い職場環境作りに取り組んで行きたいこと等を労働者に伝え、信頼関係を構築していくことが重要になります。
一方、➁については産業医にも責任があります。過去に産業医の過重労働面談を受けたことがある人が、「わざわざ産業医のところに行ったのに、やる気のない適当な産業医で、一瞬で面談が終わったよ。面談を受けても無駄。」と不満を述べられているケースはよく耳にします。そのような状況では、ストレスチェックの面接も受けようとは思わないでしょう。
産業医が、日頃から、労働者の方々に満足して頂ける産業医活動・面談をしているかどうかが重要になってきます。
そんなときこそ、集団分析・職場改善が重要
しかし、労使間の信頼であったり、産業医への信頼であったりは、一朝一夕で築けるものではなく、時間がかかると思われます。
そこで、「ストレスチェックをやるからには効果的なものにする」ためには
➀集団分析・職場改善をする
➁ストレスチェックの結果を受け、社員が相談しやすい相談窓口を設置する
この2つが非常に重要になってきます。
企業がストレスチェックの外部委託先を選定する際には、この2つをどれほど充実して行うことができるかをポイントにすべきと考えます。そしてこれこそが、ストレスチェックを効果のあるものにするための重要ポイントなのです。
現在、ストレスチェック受託業者はビジネスチェンスとばかりに乱立傾向にあり、まさに玉石混合状態です。このビジネスチャンスに新規参入し、ストレスチェックの検査の部分のみを安価で行う会社もあれば、ずっと以前から職場改善に取り組み豊富な経験を蓄積し、優秀なカウンセラーも確保して外部相談窓口を用意できる優良な企業まで様々です。
単純に価格が安いだけで選ぶと、ストレスチェックをしたものの、何ら効果が生じない状態となってしまうので注意して下さい。

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主治医と産業医(会社)の意見が異なる時、傷病手当金はどうなるのか
休職しているメンタル不調者の方が、主治医からの「復職可能」との診断書を会社に提出するも、会社側が産業医意見など勘案して「病状が回復しておらず、復帰は時期尚早」と判断し復帰を認めなかったとします。(なぜ、主治医と産業医の意見が割れる事態がよく生じるのかはここでは書きません。機会があれば、また記事にしてみたいと思います。)
また、職場復帰手続きをしっかりと踏む会社では、産業医・人事部・上司等が参加して復職判定会議のようなものを開催する場合もありますので、その手続きに数週間を要することもあり、「主治医判断の復帰可能日から、実際の復帰日」までの間に相当のギャップが生じる場合もあります。
その場合、休職者が受給している傷病手当金はどうなるのでしょうか?
産業医活動をしていると、そのようなケースにおいて、「主治医が傷病手当金申請書の医師意見を書いてくれなかった。このままでは傷病手当を受給できないかもしれない、どうしよう!」と労働者と会社がともに困ってしまうケースに時々出くわします。
なぜ主治医は意見書を書いてくれないのか
まず断っておきますが、上記のようなケースにおいて、全ての医師が意見書記入を断ってくる訳ではありません。多くの場合、「記入を断ると、患者さんが傷病手当をもらえなくなって生活に困窮してしまうのではないか。」等と考え、患者さんのために書いてくれる先生がほとんどだと思います。
また、上述の復帰日のギャップが生じるケースにおいても、「ある程度のギャップが生じるのは手続き上仕方ないことだ」「自分が書いた復帰日に、忠実に即復帰させる義務が会社にある訳ではない。」と考え、実際の復帰日まで受給できるよう意見書を書いてくれる医師がほとんどです。
しかし、一方では、断ってくる医師も現実に存在します。
私自身、精神科医として働いていた時には、このようなケースに遭遇し、どう判断するか迷った経験もありますので、断る医師の気持ちもよく分かります。
以下は、精神科医時代の迷える私の心の内です。
「自分は復職可能と判断し、その旨を診断書に書いた。その一方で、傷病手当金申請書に、「就労は不可」と矛盾することを書きたくない!」
「復職できないと判断したのは会社側。じゃあ、傷病手当金受給のための「就労不可」は、そっち(会社側)でなんとかするのが筋じゃないか!」
そんな場合にどうすべきか、厚生労働省が答えてくれている
厚生労働省が、全国の健康保険組合に対し以下の事務連絡を出しており、どう対応すべきか全てはそこに書かれています。
2014年9月1日付 厚生労働省保険局保険課事務連絡(厚生労働省HP)
健康保険組合向けの事務連絡ですが、企業の人事労務担当者、産業医等の産業保健スタッフも知っていて損はない内容だと思います。
詳細については事務連絡を参照して頂くとして、以下簡単にポイントだけを書き出してみます。
産業医が主治医の代わりに意見書を書くことについて
結論から言うと、ほとんどのケースにおいて、産業医が主治医の代わりに意見書を書くことはできません。
なぜなら意見書を作成する医師は、そのメンタル不調者の診療(治療)をしている医師である必要がありますが、ほとんどのケースにおいて産業医は治療はしていませんので(こちらの記事(産業医が診断・治療しない本当の理由)もご参照下さい)、意見書を作成することはできません。
ただし逆に言うと、企業内に診療所があり、そこで産業医がメンタル不調者に対し投薬治療等を行っている場合は、意見書を作成することができます。
産業医の意見を健保に提出できる
一方で、事務連絡には以下のように書かれています。
『被保険者(=メンタル不調者)が、診療を受けている医師等から労務不能であることについての意見が得られなかった場合、当該医師等とは別の産業医に対し、労働者としての立 場で就業についての意見を求め、意見を求められた当該産業医が任意に作成した書類を保険者(=健康保険組合)に提出することは差し支えない』
まず、大前提として、傷病手当金を給付するかどうかを決定するのは、そのメンタル不調者が加入している健康保険組合(保険者)に決定権があります。国でも、会社でも、主治医でもありません。
健康保険組合は、種々の書類・意見等を勘案して、給付するかどうかを最終決定する訳です。その際、「主治医が就業可能(復職OK)と言っている=傷病手当金は打ち切り」に直結するのではなく、他の意見があればそれも勘案して、給付の是非を決定できます。
そこで、被保険者(メンタル不調者)と会社は、健康保険組合に対して、「主治医は復帰OKと言ってるけど、ちゃんとした理由・根拠があってまだ復職できませんので、引き続き給付してね。」と訴える書類を提出することが認められています。
その「ちゃんとした理由・根拠」というものが、主治医よりもその方の就業環境を良く知る産業医の意見な訳です。
なぜまだ就業は不可と判断したのか、その根拠を産業医が精神医学・産業医学的観点から十分に説得力を持って記載した書類を提出すれば、健康保険組合としても傷病手当金を引き続き給付せざるを得なくなります。
主治医が復職可と判断する場合、「日常生活を問題なく送れるレベル」に回復したことを表していることが多く、「問題なく就労できるレベル」まで回復しているとは限らないということは、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰
もし、健康組合が主治医の意見のみに従い、産業医の正当な意見を無視して給付を打ち切った場合、それは明らかに不当と言えます。
弊社では、このようなケースでもしっかり対応致します
弊社は、「しっかり働けるまで病状が回復してから、職場復帰するのが最善」とのスタンスで活動しています。経済的理由等から早く復帰したいというメンタル不調者のお気持ちはよくわかりますが、回復していない状態で復帰すると、再発・病状悪化リスクが高く、一緒に働く同僚にも迷惑がかかりますし、何よりメンタル不調者本人にとっても良くありません。
病状がまだ十分に回復していないのに、本人の希望が色濃く反映された主治医診断書を会社に提出されるメンタル不調者の方もいらっしゃいますが、そのような場合には、産業医意見と主治医意見が分かれることもしばしば経験します。
仮にそうなったとしても、メンタル不調者の方が『職場復帰はできない。しかも、傷病手当金も受給できずに困窮する。』ようなことがあってはいけませんので、弊社では必要な場合には、上述の産業医意見書を健康保険組合宛に作成させて頂くことも行っております
これも産業医が行うべき業務内と考えておりますので、基本報酬内で対応させて頂き、別途意見書作成費用などは頂いておりません。安心してお気軽にご相談下さい。

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違法状態は是正しましょう!健康診断で最低限やるべき企業の義務
もうすぐ4月、健康診断のシーズンです。
産業医活動をしていて感じるのは、労働安全衛生法に定められた健診に関する法定義務(企業として必ず行わなければならない)ができていない企業もしばしば存在するということです。そのような企業の担当者様の話を聞くと、「それが義務だなんて知らなかった」というケースと、「産業医の先生がやってくれないから、つい放置していました」というケースがあります。
労働基準監督署の立ち入り監査が入り、是正勧告を受けて初めて気付く企業もあるようです。
いずれにせよ、法律で義務として定められたことをしっかり行わなければ、労働者の健康を守る企業責任を果たせないのは当然のこと、万一軽井沢バス事故のように健診を適切に行っていない労働者が事故を起こした場合等には社会的に強く非難されてしまうことになります。
少なくとも法定の義務については、確実に実施するようにしましょう。
健診に関する義務を以下にまとめてみます。
まず、健診の種類を理解し適切なタイミングで行う
健診の種類及び頻度については安衛法に定められていますので、誰が対象者なのかをしっかり確定し、確実に実施するようにしましょう。こちらの記事にも書いてある通り、健診を行うのは企業の義務ですから、「従業員が受けてくれない」からといって簡単に放置してはいけません。何度も受けるように勧奨して下さい。
主な健診の種類は以下の通りです。
・雇入れ時の健康診断(安衛則43条)
・定期健康診断(安衛則44条)
・特定業務従事者の健康診断(安衛則45条)
・海外派遣労働者の健康診断(安衛則45条の2)
・特殊健康診断(安衛法66条2項)
その他、検便による健康診断や歯科医師による健康診断等もあります。
医師からの意見聴取(安衛法66条の4、安衛則51条の2)
健診の結果、異常所見がある場合には、健康保持のために必要な措置に関して健診日から3か月以内に、会社は医師から意見聴取しなければなりません。
これが出来ていない企業は、相当数存在するように思います。特に、名義貸し産業医の場合、労基署へ提出する報告書には会社にお願いされてさすがにハンコだけは押すものの、個々の労働者の結果まで目を通していない場合がありますが、これは違法です。
またこの義務は、50人未満の従業員数の拠点(産業医がいない拠点)でも同様ですので、本社の産業医に健診結果をチェックしてもらうか、地域産業保健センターに結果を持ち込んでチェックしてもらう等の対応が必要になるので注意して下さい。
この法的義務を行っておらず、労働者に健康障害が生じた場合、企業責任を問われかねませんので、医師の意見聴取は確実に行うようにしましょう。
弊社では、本社(またはそれに準ずる事業場)で産業医契約を頂いた場合は、50人未満の地方の事業場の健診チェックも料金内で行っておりますので、是非ご検討ください。
健診実施後の事後措置(安衛法66条の5)
聴取した医師の意見を勘案して、必要に応じ、作業の転換や労働時間の短縮等の就業上の措置を講ずる義務があります。
労働者への結果通知(安衛法66条の6)
健診結果を労働者に返却します。
特殊健康診断の結果については労働者に返却していない企業もあるようですが、特殊健診についても本条により返却義務がありますので、注意してください。
医師又は保健師による保健指導(努力義務、安衛法66条の7)
一般健康診断の有所見者に対し、生活改善、運動・食事指導等の保健指導を医師又は保健師が行います。
ただ、こちらは努力義務になりますので、特に嘱託産業医で活動時間が限られている場合等は、他の業務(職場巡視、衛生委員会参加、過重労働面談等)との兼ね合いを見ながら行うことになります。
以上が健康診断で企業がやらねばならない法的義務の代表例です(その他、結果の保存等もあります)。
特に「医師からの意見聴取」については、実施していない企業も多くあるように思われますので、確実に行うようにしましょう。
そもそも健診結果を見るように会社から産業医に依頼していない場合は、チェックしてもらうように依頼しましょう。
それが産業医の職務であり、企業は報酬を支払っているのですから、なんら遠慮する必要はありません。

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残業80時間で労働基準監督署立ち入り調査へ【日本の雇用慣行と長時間労働の視点から産業医が思うこと】
長時間労働と産業医
今朝の日本経済新聞の1面は、政府は長時間労働抑制のため、労基署が企業への立ち入り調査を行う基準を月100時間以上から、月80時間以上へ引き下げるという記事でした。
このように、長時間労働を始めとした労働者の健康に対する意識は、行政においても、そして社会一般においても年々強まっており、企業としてもしっかり対応しなければならない状況になっています。
長時間労働をさせないことに越したことはありませんが、万一長時間労働をさせた場合の産業医面談はちゃんと行っていますか?
名義貸しの産業医では、企業責任を到底果たせない時代になりつつあります。
産業医活動をしていて感じますが、「産業医に毎月会社に来てもらっていない(名義貸しの違法状態)のは、まずい!」と気付き、しっかり働いてくれる(最低限、法定の義務事項は確実に行ってくれる)産業医へ切り替える企業も増えてきています。コンプライアンスが企業存続に必須である現代においては、当然の対応と言えるでしょう。
日本型雇用と長時間労働
様々な所で主張されていることですが、戦後の高度経済成長を支えた日本の雇用慣行は、人口構造の変化(少子高齢化、労働人口の減少)、女性の社会進出と共働きの増加などにより、限界に近付きつつあるのかもしれません。
日本型雇用慣行とは、つまりは年功賃金・終身雇用ですが、それは労使の双方にとってメリットがあったから数十年も続いてきたのです(どちらかにしかメリットのないもの、たとえば経営者側のみにメリットがあり労働者を搾取するような制度では、このように日本中に広がり何十年と続かないといえます)。
それぞれのメリットを、いくつか上げてみます。
労働者側のメリット
① 終身雇用なので、生活が安定する。
② 年功賃金なので、家族の出費(子どもの養育費・学費等)の増加に沿うように賃金も上がっていき安心。
使用者側のメリット
① 終身雇用なので、従業員の教育へかけた費用が、企業内の見えない資産として蓄積し、企業の競争力へも繋がり易い。
② 雇用を保障する分、強力な配転権を持てるので、企業状況の変化に応じた柔軟な配転が可能。海外への転勤命令を出したり、その人の今までのキャリアとは全く無関係な仕事への異動も(本人が嫌がったとしても)命令OK。
③ 業務量が増えた際には、人を雇用し増やして対応するのではなく(終身雇用なので、一旦雇うとコストが高いため)、すでに居る人員の仕事量を増やして対応(=残業)する。そのために、企業は残業命令権をもっており、日本の労働法の残業規制は非常に緩いとも言われる。
④ 終身雇用なので、家族的忠誠心が労働者に生じやすく、一致団結して働く日本人には向いている。
このようなメリットが労使ともにあったため、日本型雇用慣行で日本は戦後、高度の経済成長を成し遂げることができたのです。
長時間労働と共働き夫婦
しかし時代が変わり、女性の社会進出・共働きが増えた今、メリットよりもデメリットの方が目に付くようになりつつあります。
特に問題となるのは使用者側メリット③であげた点です。
つまり、日本型雇用慣行は、「夫は、必要に応じて長時間残業をして当然。妻は仕事をせず、家庭内のこと(家事や子供の教育)を担当する。それにより、家庭がうまく回る。」というのが前提と存在します。すなわち極端に言えば、24時間戦うジャパニーズビジネスマンと、内助の功で夫を支える妻がセットでないと、成り立たない(又は家庭内に大きな歪みが生じる)制度なのです。
共働き夫婦がこれをやると、家庭への影響が大きい(子供と関わる時間がほとんど取れない、家事ができない、場合によっては単身赴任を命じられ夫婦が離ればなれになり、シングルファザー、シングルマザー状態となる等)ため、妻がフルタイム正社員で働くことをあきらめること等に繋がってしまいます。
また、なんとかがんばって正社員として勤務しても、”妻が専業主婦だから家庭のことは心配せずバリバリ長時間労働できる男性社員”と同じ土俵で戦わなければならないことや、残業する同僚を横目に保育園のお迎えのため退社しなければならない心理的負担等、大変なことが山のように存在します。私は産業医として、そのようなジレンマに直面し苦悩している方々をたくさん見てきました。
また、子育て世代に限ったことではなく、近年の若年層においては、家族との時間や自分のプライベートの時間を犠牲にしてでも長時間働いて、会社に貢献するという価値観は薄れつつあると感じます。
1980年代には、リゲインのCMで時任三郎さんが「24時間戦えますか。ジャパニーズビジネスマン~♪」とビジネスジェットのタラップで高らかに唄っていたのに対して、昨年のリゲインのCMではタレントのすみれさんが「24時間戦うのはしんどい。3、4時間戦えますか♪」とゆる~く唄っていたのは非常に象徴的だと個人的には思います。
そういう意味でも、昔からの日本的雇用慣行と若者の価値観には、乖離が生じつつあると言えると思います。
長時間労働は企業にとってメリット?
政府が長時間労働に対し指導をするのは、健康障害を防ぐという目的は当然として、子育て中の女性等でも働きやすい環境を作り、労働人口が減少する中でも日本の経済的競争力に繋げていく目的もあるのだと思います。しかし、労基署による指導を強化しても、新聞の記事の一番末尾の締めの文章にもある通り『法改正による規制強化などは見送る』としています。
それはなぜか?
長時間労働が健康にも良くないことは分かっていて、「日本の法律においては、長時間労働は適法にさせ放題」という批判もあるなか、なぜ法により規制しないのかと思われるかもしれません。
しかし、一部の企業からすれば、長時間労働を適法に行わせることができる現在の法制度は、いわば生命線ともいえます。
というのは、企業は終身雇用(→よって、解雇は非常にハードルが高い。市場縮小、業績悪化等で余剰人員が生じてもリストラは難しい)、年功賃金(→ミドル・シニア層で仕事の成果を出せない人がいても、成果に見合わない高い給与を支払う必要がある)というコスト・デメリットを受け入れ正社員に非常に強い特権(雇用の保障。年齢に応じて賃金は自動で上昇。)を与える引き換えとして、正社員に対し必要な時には長時間労働をさせる権利を得ているともいえるからです。
正社員の残業を法で規制するとなると、企業としては、「残業規制で溢れた分の仕事は、雇用調整のしやすい非正規を大量に雇ってカバーします。コストの高い正社員は雇えませんので。忙しい時期が終われば、非正規社員とは契約終了です。」、「長時間労働をさせる権利を法によりはく奪されるなら、職能給というフィクション、終身雇用・年功賃金もやめる方向で社内制度を見直します。それが公平というものでしょう。長時間労働と終身雇用・年功賃金はバーターなのですから。」という方向に向かう可能性もゼロではありません。
そうなれば、非正規社員が増え、雇用も不安定化する等、政府が目指す方向とは逆になるかもしれません。
長時間労働を法で規制することは一見100%正しいことのように思いますが、長時間労働というのは、様々な要素が複雑に絡み合い天秤のように釣り合い・バランスを取っている労使関係における一要素であるので、長時間労働だけを取り除けば社会が良い方向に向かうものではなく、天秤全体のバランスを見ながら慎重に対応しなければならないものなのです。
(ここで問題にしているのは、労基法違反とならない適法な時間外労働であり、残業代未払い・36協定違反となる違法な時間外労働は論外です。また、念のため申し添えますが、弊社の意見として適法な長時間労働を推奨する趣旨ではありません。労基法上適法であることと、安全配慮義務上・健康管理上問題が無いことは別の問題だからです。)
余談ですが、最近話題の同一労働同一賃金についても、これと同じような複雑な事情、つまり、既存の雇用制度とどう調和させていくのかというのが、大きな論点でもあるのです。
「同じ仕事をしてたら、正規でも非正規でも同じ賃金」というのは一見100%正しく公平なように見えますが、正社員はいつでも会社からの配転命令に従わなければならない(もしかすると明日、アフリカに単身赴任の辞令が出るかも知れない)等の、目に見えない負担を実は背負っており、同一労働とは何かを定義するのは非常に難しいのです。
日本の雇用慣行が、今後どのようになるのかは私には全くわかりませんし、どのような形が良いのかもわかりません。ただ、歪みが生じつつあるのは確かであり、様々なところで議論が行われ、国民の声も取り入れ、法改正等に繋がっていくのかもしれません。「保育園落ちた日本死ね」のように、匿名の一市民の声が国会での議論に繋がる時代でもあります。
また、法規制・改正を待たずとも、多様な働き方を受け入れることができる社内体制を作ることは、優秀な人材確保につながるため、企業は自主的に社内制度改革に乗り出すかもしれません。ただ、昨年話題になった「資生堂ショック」という言葉等に代表されるように、どのような制度設計が良いのかは非常に難しい問題でもあります。
雇用のあり方というのは、労働者の労働衛生にも大きく関わってくることでもあるので、産業医としても常に注目している次第です。

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高ストレス者面接をWEB・テレビ電話で行うことの是非
ストレスチェック制度において、高ストレス者への医師面接をWEB・テレビ電話などの情報通信機器で行うこと(以下、WEB面接という)も一定の条件を満たせば許されています。
その要件については「平成27年9月15日付け基発0915第5号」で厚労省から通達が出ているので詳細はそちらをご覧下さい(この要件はストレスチェックのみならず、長時間労働者への面談でもあてはまるものです)。
この要件を満たさずに、WEB面談をされている企業もありますが、その場合は「法定の義務である面談を行った」ということにはなりませんので、注意して下さい。
また、50人未満の事業場に対しても手厚くストレスチェックを行った場合において、『ストレスチェックが義務ではないから、万一高ストレス者が生じても電話面接が可能である。会社の好きにして良い。』と勘違いされている人事の方等もいらっしゃいますが、厚労省ストレスチェックQ&AのQ0-9に書かれている通り、やる以上は法令・指針等に準じて行う必要があり、厚労省の通達要件を満たさない限りはテレビ・WEB面談はできませんのでご注意下さい(行政機関に確認済み)。
以下、厚労省の要件を簡単にまとめてみます。
WEB面接に対する厚生労働省の考え方
原則論
『労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報を元に必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものであるため、…(略)…、原則として直接対面によって行うことが望ましい』と厚労省はしています。
これからも分かるように、原則は直接対面なのです。
WEB面接が許される条件
ただ一方で、地方によってはストレスチェック対応可能な医師が不足しているため、面接医師を確保できないこともありえます。その場合、医師がいないから面接せず放置するというのは適切ではない等の理由からだと思いますが、一定の要件のもとWEB面接も許容するとしています。
【面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当すること】
① 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。
② 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
③ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
④ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に直接対面により指導等を実施したことがある場合。
上記のような面接医師に関する要件のほか、情報通信機器、実施方法等についても要件がありますので詳細は厚労省の通達をご覧下さい。
この要件を見て、どう感じられるでしょうか?
個人的には、かなりハードルが高いように思います。
産業医がいれば、月1回以上職場には来るはずなので、その際に面接を行えばよく、①の要件はあまりないでしょう。WEB面接の需要があるのは、産業医のいない地方の小規模事業場等でしょうが、そこで③、④の条件を満たすのはかなり厳しいと思います(高ストレス者が生じた場合にWEB面接できるよう、本社の産業医に全国の支店を行脚(巡視)させている企業もあるようです)。
そうすると、残る可能性としては、②の条件(本社の産業医が地方の事業場の健康管理も統括して行っている場合など)がまだ現実的なように感じます。
「WEB面接OK」を売りにして営業しているストレスチェック(長時間労働面談も)実施機関もあるようですが、許容されるには上記のような厳しい制約があるため、実際に契約締結をした後で「実はWEB面接はできなかった」「WEB面談はできるが,法定の義務を果たしたことにはならない」ということになりかねません。本当に要件を満たしてWEB面接できるのか、契約前によく確認しましょう。
弊社では➁の要件により、全国の支店に対してWEB面談を行うことができる契約形態もご用意しております。お気軽にお問い合わせください。
WEB面接するとして、本当に効果があるのか
上記の要件を満たし、WEB面接が可能となったとしても、それは本当に面接として有効に機能するのか、私見ですが、少々疑問です。
「高ストレス者=病気」ではなく、高ストレス者の中には、元気な人もいれば、病気の一歩手前の人もいれば、既に病気レベルの人もいます。
医師面接によって、高ストレス者がどのレベルなのかを見極め、適切に対応しなければなりません。そのためには、医師は高ストレス者としっかり深いコミュニケーション・会話のやり取りをし、色々なこと(ノンバーバルな雰囲気や目線等)を感じ取らなければなりません。
果たして、これはWEB面接で可能なのでしょうか?
御社がTV会議を利用するのはどんな時ですか?
多くの企業でTV会議システムが導入されており、利用されたこともあるかと思います。私も経験がありますが、以下のようなことに困ったことがあります。
・会話が、コンマ数秒程度遅れるため、自分が発言したら、他の人の発言と被ってしまう。
・「場の雰囲気」というのが無いためか、次にどの人が発言するのかよく分からない。
・議論がうまく進まない
TV会議は遠隔地を結び便利な面もある反面、このようなデメリットもあるため、一人が多人数に同じことを話す報告会などには向くものの、深い議論が必要な会議、フリーディスカッションの会議にはあまり向きません。 企業においては、このような点も考慮に入れてどの会議をTV会議にするかを検討されていると思います。
また、採用試験をTV会議のみで行う企業はほとんど無いように思います(一部がTV会議というのはあっても、採用までの全ての段階の面接がTV会議というのは無いでしょう)。それはやはり、直接対面しなければ見抜けない人となりや、その人の醸し出す雰囲気というものがあるからだと思います。
結論:高ストレス者医師面接はWEB面接には向かない
近年、WEBによる遠隔診療も普及してきています。しかしそれは、身体疾患がメインであり、また直接診療を組み合わせて行われることとなっています。
高ストレス者医師面接は、上述のように、高ストレス者(初対面もありうる)の雰囲気や仕草を感じ取りながら、メンタル面という外部から見えない事柄を問診等を通じて評価しなければならないのですから、はっきり言って、WEB面接とはかなり相性が悪いと思います。私自身、ストレスチェック面談をWEBで行った経験もありますが、かなり難しく感じました。
おそらくこの点は厚労省も認識しているでしょうが、面接医師の絶対的マンパワー不足や、それによる要面接者の放置を危惧して、やむなく一定の要件のもとWEB面接を許容しているのだと思われます。
ですので、「法律上の会社の義務である医師面接を、どんな形であれ、とにかく行えばよい。面接の効果は不要だ。」という企業(又は、地方拠点等の理由があり、どうしても直接対面面接が困難な場合等)にとっては、要件さえ満たせばWEB面接を行っても良いでしょうが、
『高ストレス者面接を本当に効果のあるものにしたい。病気レベルの人、または病気の手前の人に適切に介入して、安全配慮義務をしっかり果たしたい。従業員を助けたい。』
と考える企業は、WEB面接よりも、多少コストや移動時間はかかるかもしれませんが直接対面での医師面接をすることを強くお勧めします。

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【ストレスチェック】面接を希望しない高ストレス者にどう対応するか
ストレスチェックを実施するにあたり、企業様から色々とご相談を受けることが増えていますが、その中でも多いのが「医師面接を希望せず、自ら手を上げない高ストレス者にどのように対応するか」というものです。
(申し出自体が少ない場合の対応についてはこちらの記事をご覧ください。)
従業員の健康管理をしっかり行っていこうと考えておられる企業様ほど、そのように悩まれる傾向が強いように思います。というのも、ストレスチェック制度では、労働者のプライバシーが厚く保護されており、高ストレス者に該当したとしても労働者本人が自ら医師面接を希望し手を挙げない限り(又は会社への検査結果提供に同意しない限り)、会社側は誰が高ストレス者なのかを把握できないからです。
高ストレス者のうち、自ら手を挙げて面談希望するのは、企業にもよりますが高ストレス者の10%程度と言われていますので、高ストレス者の残り90%程は場合によっては「高ストレス状態だが、会社側からアプローチできず放置」となりかねないことを企業として危惧されています。
ストレスチェック制度の主目的は一次予防・職場環境改善であり、「高ストレス者個人へアプローチしていく」のは主目的ではないためそれに拘泥する必要はないと思いますが、そうは言ってもやはり、安全配慮義務上、高ストレス者にどう対応していくのかを無視する訳にもいきません。
それに対する対応としては以下のような方法が考えられます。
社内の既存の相談窓口を利用してもらう
社内に産業保健スタッフ(産業医、保健師、看護師、カウンセラー等)が既にいる場合は、法定のストレスチェック制度における医師面接とは別にそれらの産業保健スタッフに直接相談できることを、ストレスチェック結果返却時の紙などに記載し労働者に周知します。
この相談は、ストレスチェック制度の枠内の医師面接とは異なり、自分の検査結果を会社に提供することには繋がらないので、より安心して相談できる点を強調するのが良いかと思います。
社外に相談窓口を設置する
産業保健スタッフが事業場内にいない、又はいたとしてもあまり機能していない場合もあります。特に、嘱託産業医の場合、月に1回短時間しか職場訪問しないため、労働者が産業医に対し気楽に健康相談をできる体制にはなっていない企業様も多いように思います。「産業医に相談する=何か特別な事情がある」という目で周囲からも見られがちで、相談しにくいというのも良く聞きます(本来、そのような状況は望ましくありませんが)。
その場合には、EAP(Employee Assistance Program)サービスを利用し、労働者が電話等も含め、いつでも気軽に相談できる社外体制を整えておくのも一つの方法です。今回のストレスチェックを機に、EAPサービスを導入したという企業様の話はよく聞きます。
ただし、EAPといっても様々な会社が運営しており、サービスの質は様々です。質の良いEAP機関を選択するには、労働者健康福祉機構が認定する「メンタルヘルス登録相談機関」かどうかも一つの目安になりますので参考にして下さい。
実施者でもある産業医がフォローする
産業医が実施者であれば、その事業場で誰が高ストレス者かを把握することができます。ですので、ストレスチェック以外での場面、例えば過重労働面談や健診後のフォロー面談等を活用して、「医師面接を希望しない高ストレス者」へのフォローを行うこともできます。
しかし、ストレスチェックに関わることを嫌い、産業医が実施者になってくれないケースも多く聞きますが、そのような場合には上記のようなフォローもできません。
産業医が実施者をしないことは、断ってきた産業医にとっては訴訟リスク・業務負担等が減るので喜ばしい(?)ことでしょうが、そのツケを負うのは企業です。
厚生労働省も産業医が実施者になることが望ましいとしています。企業としても産業医の先生を実施者に据えることが、リスクマネジメントの観点等からも重要であると思われます。

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安倍総理曰く「労働者の健康管理の強化は政策の重要な柱」
昨日、新幹線を待つ間、駅の待合室で国会中継が流れていましたのでぼんやり見ていると、何やら軽井沢バス事故の関係で討議がなされており、「産業医」というフレーズが安倍総理の発言から聞こえました。待合室でしたので雑音が多くよく聞き取れなかったため、自宅に戻ってから参議院予算委員会の中継をネットで見直すと、以下のような内容でした。
薬師寺みちよ参議院議員(この方は、医師でもあります。本当に声が素敵で、聞き取りやすいですね。)
軽井沢のバス事故では、労働力の不足、過度の利潤追求、健康管理の軽視という問題が明らかになった。最低限、労働者を守る産業保健が必要ではないか。
安倍総理大臣
労働者の健康は、3本の矢・強い経済を作っていくうえでの重要な基盤である。労働安全衛生法において、産業医の選任や、定期的な健康診断の実施等を事業者に義務付けるとともに、重大な労働災害を繰り返す企業に対し改善を図らせる仕組みを導入する等、労働者の健康・安全確保の取り組みの強化を図ってきた。今後も労働者の健康と安全を確保するための対策の充実、強化を政策の重要な柱として推進していく。
労働基準法改正など、経済強化と健康管理が結びつく傾向
安倍総理の答弁を聞いていても感じましたが、健康は個々の労働者にとっては何より重要でありそれを社会として守っていく方向性は当然として、さらには、経済を強化するための重要な基盤との考えがあるようです。
昨年から言われている労働基準法の改正については、今国会での成立は見送り秋以降に検討することになったようで内容は不確定ですが、まさに裁量労働時間制等を拡大し経済強化に繋げる一方で、健康管理を強化する内容(インターバル制度等)も含まれています。
労働者の健康管理に対して企業が負う責任は、今後ますます増大するものと思われます。
産業医の名義貸しなど、違法状態は論外
「産業医が名義貸しで月1回の職場巡視すらしていない」、「健診もやりっぱなしで、健診の結果を医師に見せておらず意見聴取もしていない」、「過重労働面談も全くしていない」などの違法状態は全くの論外であり、今般の過重労働防止や健康管理重視の世の中の流れから言って、今後も労基署等からかなり厳しく取り締まりがされるものと思われます(現時点でも、かなり厳しくなってきています)。ストレスチェック制度も始まり、メンタル面のフォローも必須になってきます。
その際、今の産業医で十分な対応が可能ですか?
不安があるようなら、今のうちから、しっかり対応できる産業医を見つけておくことをお勧めします。

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